仙石線の東松島市を中心とした区間は、2011年3月の東北地方太平洋沖地震による津波の被害が甚大で、東名駅付近では205系4両編成が津波により大破する事故が起こっています。陸前富山~陸前大塚の区間は路盤の嵩上げを、陸前大塚~陸前小野は高台移設を行って、2015年5月に復旧しました。
旧東名駅、旧野蒜駅の南側には東名運河が走り、更にその南側には干拓地が広がっていますが、 地震による地盤沈下も手伝ってこの辺りはいまだに水の引かない区域もあるのが、衛星写真を見ると分かります。 海岸沿いには、山を崩した土砂で高い堤防が造成されていて、ダンプカーや工事の車が土ぼこりを上げてひっきりなしに通っていました。
ファミリーマートが併設されている旧野蒜駅は、地震・津波を回想する施設になっていて、 震災後の写真が展示されているほか、ボランティアの方から当時の様子を聞くことが出来ました。 この辺りでは津波の高さは3.7mだったそうで、ほとんど二階の床に近い高さに印が付いていました。
地震の翌年に東日本旅客鉄道仙台支社が、陸前大塚~陸前小野を内陸移設し2015年度中に仙石線を全線復旧ことを決め、 これに呼応するように野蒜駅と東名駅の内陸移転を伴う「石巻広域都市計画事業野蒜北部丘陵地区被災市街地復興土地区画整理事業」がスタートしました。 これにより、東名駅、野蒜駅は、500mほど北の内陸の高台に移動しました。
土地区画整理事業は進行中で、駅前にはまだほとんど建物が見られません。
また、東名駅と野蒜駅を高台で結ぶ道路も計画されていますが、まだ工事中で通ることはできませんでした。
※写真をクリックすると、野蒜北部丘陵団地の案内図が表示されます。
高台に移転した野蒜駅から吉田川・鳴瀬川に架かる橋梁へ接続する高架区間を行く、仙石東北ラインの快速列車です。 仙石東北ラインは、東北本線の塩釜駅と仙石線の高城町駅を結ぶ接続線を新たに設置し、石巻線が復旧した2015年5月に開通しました。 仙台~石巻間を最速52分(特別快速)で結びます。
仙石東北ラインを走行する車両は、交流電化区間(仙台~塩釜)、非電化(塩釜~高城町接続線)、直流電化区間(高城町~石巻)、非電化区間(石巻~女川)を走行します。 そのため、これらの区間を連続して走行が可能な、HB-E210系という形式のディーゼル・ハイブリッドカーが使用されています。