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冬のSLと石炭のマチ・釧路 2. 臨港線春採駅

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2013.12.27 線路端 北海道 太平洋石炭販売輸送 海底力 石炭 釧路


△ 春採駅のヤードから石炭積み込みに向かうシャトルトレイン (2013.02)
 D801が牽引しDE601がプッシュする右側の列車は、このあと目の前で走行中に2分割され、それぞれ別の選炭ポケットへと向かいました。[海底力ツアー研修会参加時に撮影]

冬のSLと石炭のマチ・釧路 2. - 臨港鉄道春採駅 -

 『石炭のマチ・釧路』の2回目は、ツアー初日に訪れた太平洋石炭販売輸送臨港線(以降臨港線)の春採(はるとり)駅と知人(しれと)駅の様子です。

 釧路駅集合後、海底力ツアー参加者は釧路駅2階の会議室で簡単なオリエンテーションを受けながら、弁当の昼食をとりました。この弁当は太平洋石炭販売輸送(株)商事部のヨーハン調理センター(地元では太平洋石炭販売輸送のことを親しみを込めてヨーハンと呼ぶそうです)が製造販売するもので、何でも日本唯一の貨物駅の駅弁として売り出す計画があるとか無いとか。いかにも北海道の弁当らしいおかずのラインナップもさることながら、駅弁包装紙にはDE601(後述)が牽引する臨港線の石炭列車の写真が使われており、鉄道ファンにはたまらない一品に仕上がっています。

 さて、昼食後はバスで臨港線の春採駅に向かい、ヤードに停車中のシャトルトレインを撮影し、選炭ポケットでの石炭積み込みの様子などを見学しました。 臨港線は、以前はJRの東釧路駅を起点としていましたが、路線短縮後は石炭の積み込みを行う春採駅と、船に積み込むまで一時的に貯炭する知人駅との間を結んでいます。CTC化は昭和40年始めで、信号・ポイントは春採駅から制御されます。石炭列車は12ユニット(24両)の連接貨車の前後に、2両のディーゼル機関車を連結したシャトルトレインという、ちょっと変わった形で運転されます。

 春採の選炭ポケットでの石炭積み込み時、および、知人貯炭場(石炭桟橋)での荷下ろし時には、12ユニットの貨車を真ん中で2分割し、それぞれが同時に積み込み・荷下ろしをします。列車の分割や貨車の扉の開閉は、機関車から遠隔操作で行われます。


△ D801 春採駅 [海底力ツアー研修会参加時に撮影、2013.03.22]
 1966年日本車輌製、55トン、DMF31SB(500PS)×2
 雄別鉄道(YD1301)から釧路開発埠頭を経て来たディーゼル機関車で、シャトルトレインの春採側に連結されていましたが、電気連結器は両側に装備しています。ラジエータファンの上部に防護版を取り付け、選炭ポケットでの石炭積載時にラジエータへの水の侵入を防いでいます。

△ DE601 春採駅、1970年日本車輌製、55トン [海底力ツアー研修会参加時に撮影、2013.03.22]
 電気式ディーゼル機関車で、GEとの技術提携で製造。キャタピラー製1050PSエンジンとGE製の発電機を搭載し、釣り掛けモーターを駆動します。知人側で使用されています。

△ セキ6000形、連接貨車 [釧路・海底力ツアーで撮影、2013.03.22]
 製造開始1966年で、釧路臨港鉄道と日本車輌の共同開発で、自社発注です。電気連結器を備えた密着自動連結器を装備し、自動分割や扉開閉の遠隔操作に対応します。また、貨車の内側に塩ビ板を張り、石炭が凍り付きにくくするなど、寒冷地ならではの工夫も施されています。連接構造1ユニットで60トン(1両30トン)を積載可能で、現在セキ6011・6012~6037・6038の14ユニットが在籍します。番号の若い車両の車輪はスポークでした。

△ D401 春採駅 [海底力ツアー研修会参加時に撮影、2013.03.22]
 1964年日本車輌製、55トン、DMF31SB(500PS)×2
 DD13後期型に準じた設計ですがロッド式を採用しています。D801同様にラジエータファンの上部に防護版を取り付けています。

△ D701 春採駅 (整備庫内) [海底力ツアー研修会参加時に撮影、2013.03.22]
 1978年日本車輌製、DMF31SB(500PS)×2
 DD13後期型に準じた設計ですが、台車の構造やラジエータファンの取り付け位置(前面に変更)などが異なっています。

△ モーターカー 春採駅 [海底力ツアー研修会参加時に撮影、2013.03.22]
 春採駅に留置された除雪用のモーターカーです。いかにも北海道の車輌らしく、旋回窓が装備されています。

△ DE601 春採駅選炭ポケット [海底力ツアー研修会参加時に撮影、2013.03.22]
 選炭ポケットの線路は写真手前に緩く傾斜しています。そこで、一度一番奥まで列車を押し込んだ後、ブレーキ操作だけで列車を止めずに石炭を積み込みながら手前に進んで来ます。そのため貨車の間には、石炭が線路に落ちないよう庇のような仕掛けが作られています。
 積み込みを終えた列車は再び1本に編成され、しばらく春採駅に停車後、知人に向かいます。

△ 知人駅貯炭場 [海底力ツアー研修会参加時に撮影、2013.03.22]
 知人貯炭場の様子です。残念ながら、荷下ろしの様子は見学は出来ませんでした。
写真の右側と左奥に2本の石炭桟橋を見て頂けると思います。その間をブルドーザが行き来して、石炭の山はどんどん形を変えていきました。
 列車で運ばれるのは石炭火力発電所用の粉炭で、釧路南埠頭から船で輸送されているそうです。この近くでは、いわきの常磐火力が大口の受け入れ先とのことでした。

 太平洋炭鉱時代は、24時間態勢で年間200万トンの石炭を輸送したそうです。釧路コールマイン発足後は、日中6往復のダイヤを設定しているものの、出炭状況に左右されて運休も多く日曜は休業だそうです。

 臨港線の走行写真は、別の回にまとめました。

■ 参考資料
釧路臨港鉄道の会(2013.02):「冬のSLと石炭のマチ・釧路 FINAL」海底力ツアー season 5th -SL冬の湿原号と釧路の石炭産業・鉄道名所を体験する3日間-