週末を利用して、群馬県南部から栃木県に鉄分補給に出かけました。
まずは、以前から一度訪ねてみたいと思っていた東武小泉線から。だって東武の路線図、不思議な形してませんか?
小泉線終点の西小泉駅は頭端式で、ホームは2番線まであります。電車が1時間に1本しか来ない駅としては、立派すぎるくらいの施設です。
西小泉駅は群馬県邑楽郡大泉町にあります。大泉町の人口は41,824人で、そのうち7,420人 (17.7%) が外国人 (平成29年4月30日現在、大泉町Webページ、統計情報 ) という、外国人、とりわけ日系のブラジル人が多く暮らす町として有名で、その多くは、この地域にある富士重工やパナソニックなどの工場で働く人たちです。そのため、街にはブラジルの食材を扱うスーパーマーケットや、ブラジルの料理を食べられるレストランがたくさんあり、実際に街を歩いみても外国の方に会う機会は多かったです。昼食で立ち寄ったレストランには異国の言葉が飛び交い、撮影地脇の公園の案内は日本語とポルトガル語で書かれていました。
東武鉄道の館林から分岐する東武小泉線は、館林から東小泉を経由して西小泉までと、東小泉と太田間を結びます。主に2両編成の8000系が活躍しています。
写真右手には、1489年に富岡直光が築城した「小泉城」跡(堀の一部と土塁)が、城之内公園として整備されています。外堀には桜が植えられていて、花の時期には電車とのコラボも期待できそうでした。
このような現在の西小泉駅周辺事情とは別に、西小泉駅には興味深い歴史があります。現在の終点、西小泉駅の開業は1941年(昭和16年)ですが、当時は利根川左岸(北岸)で採取した砂利を輸送するため、小泉町駅から仙石河岸線という貨物線が利根川付近の仙石河岸駅まで通っていて、西小泉駅はその途中駅として主に軍需工場への通勤を目的に開設されました (東武鉄道Webページ、駅情報、西小泉駅 ) 。軍需工場とは、駅付近にあり当時日本を代表する航空機メーカだった中島飛行機小泉製作所で、敷地は変遷を経て今はパナソニックの工場になっています。
西小泉駅は1976年(昭和51年)に仙石河岸線が廃止されたことにより小泉線の終着駅となりましたが、小泉線(仙石河岸線)は、利根川を橋梁で超え(未成線)、対岸の妻沼で東武熊谷線(1983年廃止)につながる予定でした。この経路は、県道の熊谷・館林線に近く、利根川に残る珍しい渡船「赤岩渡船」 や、路線バスを使って辿ることができることから、近年廃線マニアからも注目されているようです。
西小泉駅の1番線、2番線には車止めがありますが、写真右端に見える架線の取り払われた線路が駅からさらに南にのびています。現在の1番線からこの線路までの空間が仙石河岸線の名残です。レールはありませんが線路跡はさらに南に利根川付近まで続き、その様子は地図上でも追跡することができます。