現在稼働している江ノ電の中で最古参の300形です。
江ノ電こと江ノ島電鉄線は、JR横須賀線の鎌倉駅とJR東海道線の藤沢駅の間、10kmを結ぶ地方鉄道です。途中、地方鉄道には珍しい道路との併用区間があり、路面電車のようでもあります。本来は専用軌道しか走ることの出来ない地方鉄道でありながらこのような併用軌道上を走るのには、ちょっとした理由があります。江ノ電は1902年の開業当時からしばらくの間は軌道条例(のちに軌道法)による軌道でしたが、1945年頃に地方鉄道法による鉄道へ変わった際に、「可及的速やかに専用軌道へ改めること」との条件付きで併用軌道が認められたようです。
現在の江ノ島電鉄線には、今回訪れた腰越駅-江の島駅間を含め4か所、延べ980mの併用区間があるそうです。たとえば家屋の軒先をかすめるような線路や踏切なのか踏み跡なのかよくわからないような通路など、併用区間の他にも江ノ電らしさを醸し出す要素は沿線にたくさんあり、そのどれもが江ノ電の人気につながっているのだと思います。ちょうどアジサイの季節だったこともあり、4両編成12分間隔の電車は観光客で混雑していました。
江ノ電を撮影するのは本当に久しぶりでした。どのくらい久しぶりかというと、これくらい...という写真を1枚だけ張っておきます。場所は、40年以上前の極楽寺車庫で、一番左側の前面が半分しか写っていない車両は、集電装置がビューゲルで前照灯が頭の上にあった改造前の305です。
正面を向いて2編成並んだ左側の801は、山梨交通モハ7形→上田丸子電鉄(上田交通)モハ2340形→江の島鎌倉観光で、1986年に廃車されるまで使われ、現在は山梨県南巨摩郡富士川町利根川公園に静態保存されています。また、右側の603は、東急の玉川線廃止で余剰となったデハ80形4両を譲り受けて改造した内の1両で、1983年に廃止されるまで使われました。