Hello, this is Yos. / 線路端二居リマス

谷汲参詣道を歩く 6.旧谷汲駅

 ■ Sumiyaの美味しい揚げもち

 ■ 鉢花と多肉植物の生産・直売

2023.05.20 ぶらり 岐阜 名鉄谷汲線 NPO法人にわてつ モ514 モ755


△ 旧谷汲駅の入口。[2023-03、岐阜県揖斐郡揖斐川町]

谷汲参詣道を歩く 6.旧谷汲駅


たにぐみ道が通る谷汲市街地には、2001年に名鉄谷汲線が廃止されるまで終着駅の谷汲駅があり、華厳時に参詣する人々で賑わったそうです。 今は旧谷汲駅構内にモ755(モ750形)とモ514(モ510形)が静態保存され、当時の駅舎内待合室には谷汲線の資料が展示されいます。

旧谷汲駅や車両は、「NPO法人にわてつ 地域おこし団体 庭箱鉄道」が地域活動の一環として保存・整備しています。 谷汲参詣道歩きの最終回は、旧谷汲駅ときれいな状態で保存されている2両の電車を紹介します。


△ 地理院地図(電子国土web)

中心の+印の場所に旧谷汲駅があります。

△ 保存車両 モ755、旧谷汲駅。[2023-03、岐阜県揖斐郡揖斐川町]

モ755は旧名古屋鉄道が1928年に製造したデセホ750形の一両で、かつて高山線への直通列車として下呂駅まで乗り入れるなど本線を中心に活躍しました。 名鉄の架線電圧の昇圧にともなって本線から瀬戸線、揖斐線へと移動し、最後は揖斐線・谷汲線で2001年まで活躍した車両です。 2002年から庭箱鉄道の活動の一環「谷汲駅(1067mm軌道事業)」として、旧谷汲駅に保存されています。


△ 旧谷汲駅構内。[2023-03、岐阜県揖斐郡揖斐川町]

ホームの端から望んだ黒野方面(上)と、黒野方面から振り返った谷汲駅ホーム方面(下)。

△ 保存車両と桜、旧谷汲駅。[2023-03、岐阜県揖斐郡揖斐川町]

モ755(上)と、モ514(下)。


△ 保存車両 モ514、旧谷汲駅。[2023-03、岐阜県揖斐郡揖斐川町]

モ514は美濃電気軌道が1926年に製造したセミボ510形の一両で、半流線形の前面と丸い戸袋窓が特徴的な車両です。 名鉄になってからはモ510形と呼ばれています。 新製当初は笠松線(現在の名鉄岐阜~笠松間)で、その後美濃町線で運用され、岐阜市内線と揖斐線の直通運転が始まった1967年から揖斐線で運転されました。 モ770形やモ780形の新製・投入後もモ512~モ514の3両は廃車されずに時々運用につきましたが、2000年にモ512が廃車され旧美濃駅で保存されました。 モ513、モ514はその後もイベント等で運用されましたが、名鉄の600V区間が全廃となった2005年に廃車され、モ514が2006年から旧谷汲駅で保存されています。


△ モ514の印象、旧谷汲駅。[2023-03、岐阜県揖斐郡揖斐川町]

モ510形の中で最後まで活躍したモ512~モ514の3両は、それぞれ旧美濃駅、JR岐阜駅前、旧谷汲駅に保存されています。


△ 旧谷汲駅の「いのりちゃん」。[2023-03、岐阜県揖斐郡揖斐川町]

揖斐川町谷汲地区門前のマスコットキャラクター「いのりちゃん」も、「NPO法人にわてつ 地域おこし団体 庭箱鉄道」が企画・運営を行っているそうです。



谷汲参詣道を歩く小旅行は、いくつかの偶然が重なって始まりました。 まず、旧谷汲駅を訪ねた高校の先輩から、駅と保存車両のことを聞いていたことを書いておかないといけません。 その少し後、西濃鉄道の貨物列車を見に美濃赤坂に行き、中山道赤坂宿で「たにぐみ道」の道標を見て参詣道のことを知りました。 あいにく西濃鉄道の貨物列車は運休で、代わりになんとなく足が向かった旧美濃駅で「モ512」に出会うことになります。 帰って写真を整理しているうちに、だんだんモ510形を訪ねる旅がしてみたくなり、谷汲参詣道を歩いて谷汲まで行き、華厳寺に参拝して「モ514」を見てくるという企画が具体化してきます。

最終的に距離は短くなりましたが、中山道赤坂宿の道標にインスパイアされて始まった谷汲参詣道を歩く小旅行は、期せずして廃止された名鉄の揖斐線、谷汲線の終着駅どうしを結んで歩く旅になりました。 そしてこの後は、最後まで活躍したモ510形の残りの一両「モ513」に会いに、岐阜に向かうのです。